【ネタバレあり】『THE 有頂天ホテル』あらすじ感想:癖があるがハマる!三谷幸喜作品

三谷幸喜監督の映画だとは知っていましたが、いざ鑑賞するのは初めてです。

さっそく、観終わった感想について述べると、三谷幸喜監督の作品が好きな人は観ていて結構ハマる、面白いと感じるのではないだろうか。

ただ、初めての人や特にファンではない人からすると、ちょっととっつきにくい映画かもしれないなぁというのが正直なところです。

個人的には、特に物語の中盤から終盤にかけて、だんだんと映画に引き込まれながら面白く鑑賞することが出来たので、満足のいく作品でした。

さっそく、内容について見ていきましょう。

まず、作品について

先ほども述べましたが、監督は三谷幸喜さんで、2005年に公開された映画です。

三谷幸喜監督といえば、あの独特な世界観やキャスト使い、映画の構造づくりが有名なお方です。多数のファンがいて、本作品が公開されるときにも、さぞ大きな期待があったそうです。

 

この作品の舞台はホテルなのですが、ホテルのスウィートルームには、『グランド・ホテル』(1932年)に出演していたキャストの名前があてがわれている設定で、ばりばり『グランド・ホテル』を意識して映画をとったことが覗えます。

また、何人もの人が登場し、それぞれのエピソードを繰り広げながら、ひとつの物語の終焉として結末をまとめていくような運びで、この形式のことを「グランド・ホテル」形式(群像劇)、というように表現したりもします。

なかなか他の作品では見られないような構成なので、インパクトは大きかったです。

 

序盤は、登場人物が多くてかつ、ひとりに対する持ち時間が少ないことが相まりキャラも掴みづらかったので、ごちゃごちゃとしている印象でした。

しかし、物語が進むにつれて、それぞれのストーリーに味が感じられるようになり、そこから三谷幸喜ワールドに引き込まれていきました。

 

登場人物の互いのストーリーがうまく組み合わされておりその連鎖が面白かったです。映画の細部の細部にまで、緻密な計算が施されており、そのまま物語の最後まで一気にまとめあげる腕は、さすが三谷幸喜監督!という印象を持ちました。

THE有頂天ホテルのキャスト

次に、主なキャストについて見ていきます。「とても豪華である」と評価されている通り、本当に豪華なキャスト構成です。

  • 新堂平吉(役所広司)「ホテル・アバンティ」の副支配人。
  • 矢部登紀子(戸田恵子)新堂のアシスタント。何かと新堂の傍にいる。
  • 瀬尾高志(生瀬勝久)新堂と同じく副支配人。鼻持ちならない性格の持ち主。
  • 二階堂源一(伊東四朗)総支配人。
  • 只野憲二(香取慎吾)ベルボーイ。歌手を目指して田舎から上京してきたが、見切りをつける決心をする。
  • 竹本ハナ(松たか子)客室係でシングルマザー。政治家の武藤田の元愛人。
  • 野間睦子(堀内敬子)客室係。竹本と良いコンビ。ウエイターの丹下と恋人同士らしいが
  • 丹下二郎(川平慈英)ラウンジのウエイター。野間の恋人。
  • ヨーコ(篠原涼子)コールガールで、ホテルの宿泊客相手に客引きをする。へこたれない根性。意外と人情的。
  • 武藤田勝利(佐藤浩市)政治家。汚職疑惑あり。
  • 堀田由美(原田美枝子)新堂の元恋仲。夫の授賞式があり、たまたま「ホテル・アバンティ」で新堂との再会を果たす。
  • 堀田衛(角野卓三)由美の夫。「マン・オブ・ザ・イヤー」という、趣味の鹿の交配の研究で賞を獲る。以前、ヨーコと関係があった際に、全裸のくねくねダンスを携帯に撮られた以降、データの消去に全力を注いでいる。
  • 小原なおみ(麻生久美子)ホテルのゲスト。毎回、部屋をめちゃくちゃにする問題客らしいが
  • 桜チェリー(YOU歌手。マネージャーから、売れるために新堂との枕営業を進められる。
  • 徳川膳武(西田敏行)舞台歌手。舞台の講演前日はいつもネガティブでめんどくさい。
  • ダブダブ(声:山寺宏一)小芝居で使われるアヒル。脱走する。

ご覧の通り、豪華なキャストです。ただ眺めているだけでも飽きませんね。これらの登場人物が思い思いにストーリーを色づけていくので、それぞれどのような結末を迎えるのか、考えながら鑑賞してみても楽しいかもしれません。

ざっくりと、あらすじについて紹介します。

物語の舞台は大晦日の「ホテル・アバンティ」。伝統あるホテルです。

ホテルの副支配人である新堂をはじめ各スタッフは、お客様が気持ちよく新年を迎えられるように諸々の準備に大忙し。そんな中、「ホテル・アバンティ」に集まってくるゲストたちは、みんな何か訳ありの曲者のよう。

 

たとえば政治家である武藤田は、汚職疑惑真っ只中のようで、マスコミに追われています。

大晦日というにも関わらず、ホテル内で営業をかけまくるヨーコは何度もホテル側から追い出しを喰らいます。マン・オブ・ザ・イヤーの表彰のためホテルを訪れた堀田は、ヨーコに再会し、動画の削除を依頼しますが取り合ってもらえない様子。

そして、付き添いで来ていた堀田の妻の由美と新堂は思いがけず再会します。

 

そんなバタバタの中、トレーニングルームで窃盗騒ぎが起こったり、カウントダウン・パーティーに出演する腹話術氏のアヒルが逃げ出したりと、そちらにも対応しなくてはならなくなったため、さらに忙しくなります。

そんな中でももうひとりの副支配人・瀬尾は何かと理由をつけ、新堂に仕事を押し付けます。

 

また、ホテルのゲストたちだけではなく、スタッフ側にもみんなそれぞれ悩みの事情があるようで。スタッフ側とゲスト側と、思いがけずそれぞれの問題が、次なる問題と繋ぎあわさり、物語はひとつの終焉へと向かっていきます

感想

本作品は特定の誰かにフォーカスしたり感情移入したりする、というよりかは、全体を第三者目線からながめているような感覚で観続けられます。

そんな中でも、作中の出来事を通して変わったな成長したな、と思う注目人物に焦点をあててみていこうと思います。

①只野憲二(香取慎吾)

只野は、歌手を目指して上京してきました。しかし、なかなか実りの目途が立たず、諦めて田舎に帰る決心をします。

上京するときに自分にとってのラッキーアイテムだった幸運の人形と、オレンジ色のバンダナと、ギターをそれぞれスタッフに配ってしまい、きれいさっぱりとした気持ちで最後の出勤を終えます。が、ホテルの忙しさにともなって新堂からのヘルプの打診を受け、そこまで言うのなら、ともう一度ベルボーイの制服に身を包みます。

 

たまたま再会した同級生の小原なおみと、ひょんなことから舞台歌手である徳川の面倒を頼まれます。

小原の猛プッシュもあり、徳川のために自前の歌を披露します。結果無事に、徳川の元気は戻り、特に才能が認められた訳ではありませんでしたが、只野の歌に隣の部屋の武藤田も励まされており、武藤田からお礼を言われます。

その後に手放したはずの只野の三種の神器が次々と自分のもとに舞い戻ってきて、もういちど夢にチャレンジする決心がつくのです。

歌手デビューするとか、著名な誰かに才能を認められたとかではありませんでしたが、同級生をはじめ様々な人が自分の歌を好きだと言ってくれ、誰かを励ますことが出来ること、誰かの役に立っていることにきっと気が付いたのではないかなぁと思います。

だからこそ、また夢を諦めず自分の好きなこと・自分に出来ることを続けていこうと決意を変えたのだと感じました。

あまりぱっとしない、さえないキャラだったとは思うのですが、彼の周りに及ぼした影響の大きさはなかなかだったと思います。

②竹本ハナ(松たか子)

客室係として働いていて、その間は息子を実の母に面倒見てもらっているようです。

大晦日のこの日ももれなくそうだったようで、母との電話の会話の中で怒っているシーンが何度か出てきます。

「いつもならとっくに寝ている時間だから早く寝かせて」「寝ているはずの時間なのにお雑煮食べるなんてだめよ」etc…

子どものしつけに厳しめにみえるハナですが、シングルマザーということもあって、愛情ゆえになのかなという気持ちもしました。ハナも、客室清掃中にひょんなことから、その客室のゲストに化けることになります。

 

ヤクザの愛人のフリで、ヤクザの息子に話があるからとそのままラウンジに連れられてゆきます。

一切事情を知らないハナですが、うまく話を合わせてその場にうまく身を委ねます。どうやら、ヤクザには奥さんがいるらしく、世間がふたりの仲を認めないからハナには別れてほしい、そのための示談金を渡したい、という内容だったようです。

かつて自分にも周りには認められない恋愛の経験があったため、ハナは素性も分からない「ナオミ」にただならぬ親近感を覚えます。

 

そして、ヤクザと「ナオミ」が分かれる運命とならないように、ふたりの仲をうまく保ちます。

とても他人事だと思えなかったハナは、「お互い好きなら別れちゃだめよ。自分たちの好きに生きなきゃ」という自分が感じた気持ちをそのままに、元愛人である武藤田の前に姿を現します。

会見を目の前に、迷う武藤田に向かって投げかけるセリフがとてもかっこいいので、これはぜひ本編でご覧ください。個人的には、これが恋愛系のセリフではなく、もちろんこれがきっかけでふたりの仲が戻るということにも繋がらなかった点が素晴らしいと感じました。

その後息子にかけた電話で、「来年はお母さんとたくさんお出かけしようね」と笑顔で話していたシーンが印象的でした。良かった、良かった

まとめ

すべてのエピソードがいっかいきりの無駄に終わるということがなく、相互に密接にかかわっていること、そして伏線が何回にも渡ってうまく回収されていること、あれだけの人数が出演しているにも関わらず、その密度も濃いものだったこと、さすが三谷幸喜監督だなあと感服せずにはいられませんでした。

ディテールにもしっかりこだわってます。何回か見返してみても、そのたび色々発見が出来る作品なのではないかとも思います。

 

結論として、物語中盤から終盤にかけて特に面白い、くすりと笑える工夫がたくさん潜んでいて、コメディとしても良い作品であるという感想です。

ぜひお気に入りのシーンを探してみてください。きっといくつか見つかると思いますよ。

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