人生をやり直したくなるほどの後悔、あなたにはありませんか?
今回はどうにかして訪れる未来を変えて欲しいと未来から過去の自分へ祈る
ちょっぴり不思議で切ない映画を紹介します。
「Orange」 ネタバレ・あらすじ
十六歳の春、菜穂のもとに届いた不思議な手紙。
それは十年後からの自分からというなんとも不思議なものでした。
どうしても叶えて欲しいお願いがある、と綴られた手紙にはこれから起きることが詳細に書かれていました。
入学式、遅刻しそうになったこと、東京からの転校生・翔が来ること。
球技大会の日、ソフトボールの代打を断って後悔したことが書かれていました。
その手紙のとおり、優勝がかかった最終打席の代打を頼まれる菜穂。
断ろうとしたとき、「足が痛いんだろ」という翔の助言のおかげで友人のあずが代打で出ることになります。
それでもやはり手紙に書かれた内容が気になってしまって、勇気を振りしぼって菜穂は代打を代わります。
無事ヒットを打つことができ、菜穂たちのチームは優勝することができました。
未来の自分が後悔していたことをひとつ防ぐことができ、逃げてばかりの臆病な自分に初めて勝てたと喜ぶ菜穂。
ただし、手紙に書かれていたもうひとつの事象は避けることができませんでした。
「この日、私は翔を好きになる」
足の手当てをしながら自分が損をしても我慢する方がいい、我慢してれば気づかれないしという菜穂に「俺は見てるよ」と
優しい言葉をかけてくれた翔に菜穂は惹かれてしまうのでした。
十年後、二十六歳の菜穂は須和との赤ちゃんを抱いていました。
久しぶりに会ったあのときの仲間たちと菜穂は「翔との約束を叶えに」行こうとします。
そしてまた高校生時代に戻ります。
手紙には十年後、ここには翔はいない、という文字。
二十六歳の菜穂には後悔していることがたくさんあり、その後悔していることを消すために十六歳の菜穂は行動していきます。
まずは翔へのお弁当作り。
家の人は作ってくれないという翔は、菜穂が自分でお弁当を作っていると知り、「じゃあ俺の分も作ってよ」と言います。
菜穂はそれを快諾するも、冗談だよと言われてしまい、二十六歳の菜穂は結局当時作るのをやめてしまったとのことでした。
だから、お弁当を作って渡してほしい、という未来の自分からの願いのもと、菜穂は翔の分のお弁当を作ります。
結局お昼にお弁当は渡せず、お弁当を作ったことがバレそうになった菜穂は翔へ変な態度を取ってしまいます。
そのまま帰ろうとした菜穂でしたが、サッカーを楽しそうにしている翔を見て、本当にこのまま帰ってしまって後悔しないのか自分に問いかけます。
二十六歳の自分はたくさん後悔していることがあると言っていた、このままでいいのか–––と。
帰り道、翔を待っていた菜穂は翔とふたりで帰ることに。
こんなこと、手紙には書いていなかった…と思いながらも楽しく帰っていたふたり。
そこで菜穂は翔が始業式に出たきり二週間も休み続けていた理由が、始業式の日に翔の母親が亡くなったからだと知ります。
手紙にあった、「この日だけは絶対に翔を誘わないで」という言葉の意味がようやくわかった菜穂。翔の辛そうな顔に、このまま後悔したくないと勇気を振りしぼってお弁当を翔へ渡します。
実は期待してた、と照れ臭そうに笑う翔を見て、菜穂は翔の笑顔を十年後まで残すんだ…と決意するのでした。
けれど菜穂は手紙によって衝撃の事実を知ります。
翔は十七歳の冬、事故によって他界してしまうこと。
二十六歳の菜穂の後悔は、助けられるはずだった翔を救えなかったことでした。
翔がかなしそうにしていたら、気にかけて欲しいと続いた手紙。
続いての願いは、翔を無理にでも部活に入れてあげて欲しいと書かれていました。
けれど、菜穂が何かする前に翔は正式にサッカー部に入ることになっていました。
未来が変わっていっているのかもしれないと首をかしげる菜穂。
サッカー部に入った翔にひとつ事件が発生します。
美人で有名な上田先輩に告白されたこと。
手紙には翔は上田先輩と付き合うと書かれていました。
けれど、そのことに対するお願いは、翔に消しゴムを貸すからそのケースを見ること、
そして、「自分の気持ちを正直に伝える事」でした。
手紙にあった日付、やはり書かれていたことが起こります。
そして消しゴムにはケースに翔からの手紙が挟まれていました。
「上田先輩とつきあっていいと思う?」
それを見た菜穂はノートを千切り、自分の気持ちを正直に書いて翔の靴箱へ入れます。
ところが、教室に戻ったとき、菜穂が見たものは上田先輩に付き合うことを伝えに言った翔の姿でした。
十年後の自分へ後悔をひとつ消せなかったことを謝る菜穂。
それから菜穂は翔のことを避け続けるようになります。
けれど手紙にはそうせずに、翔が呼んだら応えて欲しい、自分から声をかけてあげて欲しいと書かれていました。
仲間たちからも励まされ、翔を追いかける菜穂。
「なんでも話して欲しい」と翔に告げます。
菜穂に「上田先輩と別れようと思ってる。上田先輩よりも気になってる人がいる」と話し、好きな人かと菜穂が問えば、内緒!と翔は逃げてしまいます。
そんな中、菜穂は授業でタイムトラベルについての考え方を学びます。
パラレルワールドのことを知った菜穂は、もし翔を救えても手紙を書いた十年後の私の世界は変わらない、
未来の自分の後悔は消してあげられないことを聞いて悲しくなってしまうのでした。
だからこそ、せめてできることはしようと菜穂は十年後の自分の願いを叶えようとします。
文化祭の花火、翔とふたりで見る花火の思い出だけは消さないで欲しいと手紙は綴っていました。
勇気を出して翔を誘おうと口を開こうとしたそのとき。
タイムトラベル、と聞いて翔は菜穂に過去と未来、行けるならどっちに行きたい?と問いました。
菜穂は未来を選びます。
翔は行けるなら過去に行きたいと言いました。後悔を消したい、と。
後悔って何、と菜穂は問うも翔は答えてはくれませんでした。
菜穂に嫉妬した上田先輩に邪魔されながらもなんとか翔と花火を見ることができた菜穂。
一緒に花火見れてよかった、一生忘れない、幸せな日、と告げる翔。
菜穂もその言葉を一生忘れないと思うのでした。
それから、迎えたみんなでのお祭りに出かける予定だった日。
まさかのふたりきりで翔との浴衣デートになってしまいます。
そこで菜穂は翔の後悔––––自分が傷つけたせいで母親を死なせてしまったことを聞きます。
始業式の日、新しい病院に行く母について行くはずだったのに精神的に不安定な母親の傍にずっといた翔自身も疲れていて久しぶりに友人と遊ぶことが楽しくて邪魔すんな、ってメール送ってしまったこと、そして帰ったら母親が自殺していたこと。
あまりに重い後悔に菜穂は何も言えませんでした。
この後悔が、翔に死を選ばせてしまう事実を知るも、翔の心を救って欲しいと願われ、今の自分でもそう思ったところで
どうすればいいかわからず菜穂は途方にくれます。
そんなとき、菜穂は実は須和のところにも十年後から手紙が届いていたことを教えられるのです。
須和とともに翔に生を選ばせるため奔走する菜穂。
友人たちの協力を仰ぎながら、翔のためにできることを探していきます。
そしてとうとう迎える運命の日––––翔は生と死どちらを選ぶのか。
十年後の菜穂が必死に祈り、綴った手紙は未来を変えることができるのか。
ぜひ見届けていただきたいです。
感想
とてもキラキラともしているんです。
高校生の瑞々しい青春がまぶしいくらいに描かれていて胸キュンするところも多いです。
こんな高校生活送ってみたかった、と思う人も多いのではないでしょうか。
けれど、翔の抱えているものが重たすぎて…どんなに笑っていても心の底にずっと母親を傷つけた後悔が巣食っていたかと思うと胸が苦しくなります。
そして、もうひとり。
注目して欲しいのは翔の親友・須和です。
二十六歳の須和は菜穂と結婚して子どもまで産まれています。
それなのに、翔が死んだ理由を聞いた後に翔を救うために手紙を書いてみないかと提案するのは須和の方なのです。
未来が変わったら、翔は助かるかもしれない、けれど自分が愛した家族は無くなってしまうのです。
そのときの気持ちを想像すると切なくてたまりません。