映画『百瀬、こっちを向いて。』ネタバレ・あらすじ・感想:ラストは怖さがにじみ出る

百瀬、こっちを向いて。

映画『百瀬、こっちを向いて。』

【原作】中田永一『百瀬、こっちを向いて。』

【公開】2014年5月10日

【監督】耶雲哉治

【脚本】狗飼恭子

【出演者】早見あかり/竹内太郎/向井理/石橋杏奈/工藤阿須加/ひろみ/西田尚美/中村優子/きたろう

映画『百瀬、こっちを向いて。』のネタバレ・あらすじ

高校卒業後、講演会の依頼を受けて久々に故郷へと帰った主人公・相原ノボル。

高校時代の先輩である神林に再会して昔のことを話すうち、ひとつの嘘を思い出します。

 

それは幼なじみで学校の人気者である先輩・宮崎からのひとつの頼みごと。

突然紹介された百瀬、という子と付き合っているフリをしてほしいということでした。

 

宮崎は神林と付き合っていましたが、

神林に百瀬といるところを見られてしまい、浮気を疑われていました。

その誤解を解くための「幼なじみの彼女と一緒にいただけ」という理由作りのために

ふたりに嘘をついてほしいと頼むのでした。

 

実はそれは百瀬の方から言い出したことでした。

百瀬は宮崎に彼女がいることを知っていながらも、宮崎のことを好きだったのです。

 

宮崎の前では見せない

百瀬の傍若無人な様子に振り回される相原。

 

『舞姫』を宮崎にもらったと喜ぶ百瀬。

宮崎はニル・アドミラリィなんだ、だから自分を好きなのか

神林を好きなのかわからないんだ、と嬉しそうに、

そして自分に言い聞かせるように話す百瀬。

百瀬に対抗するように相原も宮崎にもらったというキーホルダーを

見せつけるとそれを百瀬に奪われてしまいます。

 

授業中も百瀬はそのキーホルダーを大切そうに見つめていました。

相原へ見せる顔とは違う、恋する乙女の表情。

そんな百瀬は、宮崎と神林が一緒にいるところに出くわしてしまいます。

好きな人の前で、そしてその人に好かれている人の前で、別の人の彼女として

振る舞わなければならないのです。

 

百瀬を心配し何度もメールを書いては消し、書いては消しを繰り返す相原。

 

その翌日も、神林と仲よさそうに話す百瀬を見て胃を痛める相原。

保健室で寝ていたところに授業中にも関わらずやってきた百瀬から

神林が四人で遊びたがっていると聞き、ダブルデートの提案を受けます。

 

ダブルデートのため、洋服選びに相原の家に来た百瀬。

自室、しかもベッドに気安く上がる百瀬にドギマギしてしまう相原。

百瀬はそんな風に相原が思っていることなど露とも知りません。

 

相原の机の上に『舞姫』を見つけた百瀬はエリスは幸せだったという。

好きな人と思いが重なる瞬間が1秒でもあれば

それは幸せな恋なんだという百瀬にロマンチストなんだねと返す相原。

 

服を選び終わって、帰り道で父親が嘘つきだったから嘘は嫌いだという百瀬。

そんな百瀬に相原は「もうやめようか」と言います。

好きな人気持ちが通じ合ったって一瞬じゃ意味ないよ、

一瞬以外は全部他の人のものってことだよ、と。

 

宮崎も乗り気ではなかったけれど自分が無理に言ったという百瀬。

好きになっちゃったから傷ついてもいいんだ、

自分でもバカだとわかっているんだと続ける百瀬。

どんな表情をしてそれを言っているのか、相原にはわかりませんでした。

百瀬は先を歩いて、振り返ってはくれなかったから––––

 

ダブルデートに備えて、相原の髪を切る百瀬。

「相原くんのどこがいいの」ってクラスの女子に聞かれ、

ナメクジみたいなところがいいと言ったという百瀬。

嘘だよ、ちゃんと褒めといた、ああ見えて度胸があるって言ったというと

そちらの方に気が滅入り、もっと死にたくなったという相原。

 

ふと、相原は問います。

「死にたいと思ったことある?」と。

 

「あるよ、当たり前じゃん」

そう、けろりと言ってのける百瀬に慌てて死なないでよ?と返す相原。

 

そんなやりとりに、「相原くんはいい人だね」と百瀬は言います。

けれど、いい人は無価値、だとも。

宮崎はいい人じゃないけど好きになってしまったのだとも。

 

そして迎えたダブルデートの日。

こんなことでも宮崎と休日一緒に過ごせるのが嬉しいという百瀬に

相原も気を引き締めます。

 

恋は障害がある方が燃えるんだね、と言いながらも

ふたりをみると辛そうにする百瀬。

トイレで一緒になったとき、神林は口紅を塗り直していました。

そのときに、百瀬が塗り直そうとしていたのは薬用リップクリーム。

百瀬は、恥ずかしそうにリップをポケットにしまうのでした。

 

さて、いざ映画を観ようとなった四人ですが、前日一睡もしていなかったために

気分が悪くなってしまった相原を気づかって宮崎と神林を先に行かせ、

百瀬は相原に肩を貸して眠らせてあげるのです。

 

そのあとは、公園に行って、ボートに乗ったり、みんなでキャッチボールをしたりと

楽しんだ四人はバスで帰路についていました。

 

そこでおもむろに落ちてたのを拾ったと。鬼灯を宮崎に渡す神林。

宮崎はその意図がわからないながらも受け取ります。

 

神林を送るという宮崎と別れ、相原も百瀬を送っていこうとしますが

百瀬はひとりにしてくれ、こんなの本当に最低、と声を荒げて逃げ出すように

走り去ってしまいました。

 

一度はそのまま帰ろうとするも、バスの中での百瀬の表情を思い出し

追いかけようとする相原ですが、停めてあった自転車に引っかかってしまい

そのまま自転車がドミノ倒しのように倒れて行ってしまいます。

 

たまたま通りがかり、自転車を起こすのを助けてくれた友人の田辺を見

てつい泣き出してしまう相原。

 

気持ちがないくせになんてことしてくれたんだ、ひどいやつだ、と吐き出す相原。

知らなきゃよかった、他人だったらよかった、という相原に

そうは思わないよ、と優しく否定を返す田辺。

 

そこで相原は『舞姫』のラストを持ち出すのです。

愛する人と幸せな日々を送っていたにも関わらず、

置き去りにされて最後には気が狂ってしまったエリス。

 

そこに百瀬を重ねてしまったのか、とても苦々しい表情で。

 

そんな日々も、とうとう終わりの日がやってきます。

 

宮崎から託された手紙を百瀬へ届ける相原。

もうふたりでは会えないし電話もメールもダメだと

そこには書かれていたと百瀬は言います。

 

明日からどうやって生きていけばいいんだろう、という百瀬に

きっとまた誰かを好きになるよ、と拙く励ます相原。

 

バカヤロー、でも好きだと泣きながら叫ぶ百瀬。

 

夜も明けて、ようやく悲しみが落ち着いてきたのか

百瀬と相原は帰ろうかと歩き出します。

 

もう演じる必要もないよね、と話しながら前を歩く百瀬に

相原は動物園行こうか、と声をかけます。

それは百瀬の父親がしていた守れない約束で、百瀬が嫌っていた嘘でした。

 

行かないよ、と笑い混じりに拒否する百瀬に、

相原はお願いだからこっち向いてよ、と懇願するのです。

最後なのに、と言い募っても百瀬は決してこちらを向いてはくれませんでした。

 

そうしてまた時は現在に戻ります。

 

相原は喫茶店の席に飾ってあった花を見て、

神林が花言葉に詳しかったことを思い出します。

 

そしてずっと気になっていたことを訪ねるのです。

今は宮崎の妻となり、母となった神林に向かって。

 

「知っていたんですか」と。

 

あの、ダブルデートの日に神林が宮崎に渡した鬼灯。

鬼灯には裏切り、不貞、浮気という花言葉がありました。

 

そっと指を唇に当てひみつよ、と囁くのでした。

映画『百瀬、こっちを向いて。』の感想

春のように澄んだ薄い空の下で繰り広げられていたのは、

中々にどろどろとした恋愛模様でした。

 

「ニル・アドミラリィ」(何ごとにも驚かない、何ごとにも動じない、無関心という意味のラテン語)と称された宮崎やいつでも穏やかに笑う神林、そして作中でも「恋をしたことがない」と言っていた相原。

 

そんな自分の感情に無関心なメンバーたちの中で、百瀬だけが突出していました。

全身で、「宮崎が好きだ」と感情をむき出しにしながら叫び続けていた百瀬には

どうしても目が惹かれてしまいます。

 

そんな百瀬に引きずり込まれるように、恋の苦しさばかりを教わってしまった相原。

そんな相原が田辺に気持ちを吐き出すシーンは、観ていてとても胸が苦しくなります。

 

「レベル、っていうのは戦った分だけ上がるものだから」

 

宮崎をラスボス、自分をLv.2だと例える相原に向かって

田辺が言ったセリフが印象的でした。

 

恋を知って、今まで向き合ったことのない人物や感情と向き合って

映画の中で相原はどんどんと変わっていきます。

その些細で、ゆるやかな、けれども急激な変化をぜひ感じていただきたいです。

 

シン

そして個人的には最後の秘密の暴露の怖さですね。

神林先輩の笑顔の奥底に隠れていたものがにじみ出て、これがよく言う笑顔が怖いってやつだ、と思いました。女性の勘というものは恐ろしい。

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