もしあなたの記憶が一週間でリセットされることになったらあなたは友達をつくりますか?
私の場合、一週間で記憶がなくなるとしたら不登校になってしまうような気がします。それだと物語が始まらず終了してしまいそうです。
原作は漫画家の葉月抹茶さんが描いた「一週間フレンズ。」です。原作はすでに完結されており、2014年にはアニメ化もされている人気作です。
私もアニメは観たことがあってとても感動するお話だったのですが、果たして映画ではどうなっているのかワクワクしながら観ました。
結論からいうと、映画「一週間フレンズ。」は一週間で記憶がリセットされてしまう女の子とその子と友達になろうとする男の子の恋愛要素が強めの友情物語です。
高校一年の春休みの最終日、主人公の長谷 祐樹(はせ ゆうき)は図書室で図書カードを拾います。
カードに書かれている名前は「藤宮 香織(ふじみや かおり)」という女子生徒の名前でした。
長谷は思わずそのカードの匂いを嗅いでしまい、運悪くそれをカードの持ち主である香織にみられてしまいました。
香織は嫌悪感をあらわにしながらカードを長谷から奪い、その場を去ります。
偶然その日、長谷と香織は同じ電車の車両に乗ります。長谷は電車の中で居眠りをし、自分の降りる駅で起き慌てて借りた本を席に置き忘れて電車から降りてしまいます
その本に気付いた香織が電車のドアが閉まる瞬間長谷に本を投げ渡します。長谷が走りながらお礼を言うと、香織はそれに微笑みながら返します。
それが二人の出会いでした。
そして、新学期に入り長谷と香織は同じクラスになります。
放課後、長谷は香織にこの前のお礼をいうと香織はよく分からないという表情をします。
そこで長谷が
長谷
と言うと香織に
香織
と断られてしまいます。
しかし、長谷は諦めずに香織に話しかけます。
それに気付いた教師の井上が長谷に香織の記憶が一週間で失ってしまうことを知り、香織と交換日記をしようと提案します。
はじめは断られてしまいますが、長谷の言葉に香織も交換日記の返事を書き二人の友達関係が始まります。
交換日記をしていくうちに二人の距離は少しずつ近づいていきます。
夏休み、長谷と香織は長谷の友人である桐生 将吾(きりゅう しょうご)と山岸 沙希(やまぎし さき)の4人で夏祭りに行くことになります。
そこで、中学時代の知り合いであるらしい九条 一(くじょう はじめ)に会い九条に「裏切り者」と言われ香織は倒れてしまいます。
病院では一時的に長谷の記憶を忘れてしまいますが、長谷が後日 、香織に日記を渡しに行き、二人の関係は基に戻ります。
そして、夏休みが明け二学期になると九条が長谷と香織のクラスに転校してきます。
そのことによって、長谷と香織の関係も変化していくのでした。
- 長谷 祐樹(山崎賢人)…本作の主人公。漫画研究部の部員で藤宮香織と友達になろうとする。
- 藤宮 香織(川口春奈)…ヒロイン。交通事故で一週間で記憶がなくなるという病気になってしまい人と関わろうとしない。
- 桐生 将吾(松尾 太陽)…長谷の中学からの親友。
- 山岸 沙希(高橋 春織)…長谷の幼馴染。
- 九条 一(上杉 柊平)…香織の中学時代を知る友人。
- 近藤 まゆ(古畑 星夏)…香織の中学時代の親友。
原作を知らなくても序盤で丁寧に記憶が一週間でなくなることについて描かれていて分かりやすい内容でした。
ただ、原作を忠実に再現したものではなく話の本筋は一緒ですが、ところどころにオリジナル要素が入っていて原作とは別物と考えて観た方が個人的にはしっくりきました。
また、アニメの長谷君と映画の長谷君ではちょっとイメージが違い、山崎賢人さんの髪がなぜか癖っ毛のようにされていて、そこはアニメと同じストレートで良かったんじゃないかと個人的に思いました。
そしてヒロイン藤宮香織を演じた川口春奈さんははじめイメージと違うと思ったんですが、観ていくうちにぴったりだと思うような演技でした。
印象的なシーンは
長谷
と香織の父親に友達関係を解消するよう言われて、長谷が自分の考えをはっきり言う場面です。
いつもはお調子者でへらへらしている長谷ですが、真剣に香織との関係を大切にしている姿がとてもかっこよかったです。本当に香織の気持ちを大切にして行動していることが分かるセリフでとても良かったです。
また、役柄としては桐生君が普段はクールなのにとても友達思いな一面がある場面が多くみられ個人的には一番好きな人物でした。
交換日記を香織がクラスメイトに勝手にみられそうになる場面では、桐生君がはっきりと相手に立ち向かって日記を取り返してくれるのですが香織のためというより長谷のためにやっているような所が彼らしいなと思える場面でした。
少し納得いかなかったのは、長谷との友情関係が無くなって九条が全部もっていってしまうという話の展開が長谷にとって切なすぎて悲しかったです。
てっきり九条も入れてもっと友情を深めていくのだと考えていましたが、長谷だけ仲間外れになるという展開が予想だにしないもので衝撃的でした。
原作と全く違い長谷の切ない気持ちが伝わり観てるこちらも胸が痛くなる展開でした。また、香織と九条との関係が友情なのか恋人なのかよく分からず観ていてもやもやしました。
映画では、長谷が最初に借りた分厚い本が物語の長谷と香織の関係の鍵になるのですが、その本に書かれている長谷の描いた物語が長谷の心情が伝わるものでとても良かったです。
映画「一週間フレンズ。」は、恋人になるようでならない恋愛要素の強い友情物語でした。
原作を知っていて忠実なものが観たい!という人にとっては、これはちょっと別物の映画と考えて観た方がいいと思います。
ハッピーエンドで終わる恋愛映画が観たい人には、もやっとする映画かもしれません。
逆に、恋愛に発展するのかしないのかの狭間でふらふらする曖昧な関係の時が好きだという人にはすごくおすすめです。