今回は、『ピッチ・パーフェクト』についてレビューします。
結論から伝えると、「普通のミュージカル映画だなあ」と感じる作品でした。
良くも悪くも、アメリカ発のミュージカル映画ってこんな感じだよね、というイメージ通りの映画です。
ミュージカル系が好きな方や、なんだか最近刺激がなくてつまらないなと感じている方、人の歌を聴くのが好きだという方にはおすすめ出来る映画だと思います。
簡単にあらすじを紹介します。
主人公であるベッカは、DJになることを夢見ている女の子です。
親の勧めで大学に進学しますが、学問よりも、ヘッドフォンで音楽を聴いたりパソコンで音楽制作をしたりすることの方が好きな性格の持ち主です。
そのことが原因で、教授を務めている父親からは、もっと学問に興味を持つように言われたり、部活動に入って友達をつくるように勧められます。
そんな父親から逃げるようにしてキャンパス内に繰り出すと、アカペラ部の「バーデン・ベラーズ」から勧誘を受けます。
このバーデン・ベラーズは女性限定のアカペラ部で、去年、アカペラの大会でリーダーのオーブリーが舞台上で吐いてしまったことによる汚名を返上しようと、新しいメンバーを募っている最中でした。
しかし、歌うことよりもDJをすることの方が好きなベッカは誘いを断ってしまいます。
そしてベッカはラジオ局で活動することにします。そこで出会ったジェシーは積極な男の子で、ベッカとなんとか仲良くしようとしますが、クールな性格の持ち主のベッカはそれほど反応しません。
ベラーズの副リーダーであるクロエは、ある日ベッカの歌声をシャワールームでたまたま耳にします。
あまりぱっとしない新入生が多かった中で、ベッカの存在はひときわ目立って見えました。
そこでなんとか必死にベッカをオーディションに誘い、ベッカの勧誘に成功します。
晴れてベラーズの一員となったベッカですが、入ってからベラーズの厳しさに気づかされます。
リーダーであるオーブリーは、男性アカペラ部である「トレブルメーカーズ」を目の敵にしており、彼らと関係を持つことはおろか、仲良くすることにも口を出してくる存在です。
大会優勝を目指しており、しきたりを守るようメンバーに口うるさく告げ、自分のやり方を貫こうとする姿勢に、ベッカは違和感を覚えます。
また、その頃からベッカと、トレブルメーカーズに入ることになったジェシーは親しくなります。
そのこともオーブリーは良く思っていなく…。
優勝を目指すベラーズですが、なかなかメンバー同士の絆が深まらないこと、ライバルであるトレブルメーカーズの評判が自分たちよりも良いこと等が重なり、なかなかうまくいきません。
そんな中ベッカ自身も、父親を始めとして、ジェシー、オーブリーらと関係がうまくいかず、悩むようになります。
ベッカはどうやって自分の道を切り拓いていくのか?
ジェシーとはどうなってしまうのか?
ベラーズはどうなるのか?
映画の後半のベッカに、ぜひ注目してほしい作品です。
見どころ
作品の見どころとしては、やはりベラーズとトレブルメーカーズのパフォーマンスシーンでしょう。
歌唱力だけではなく、ダンスにも目を奪われます。特に物語終盤の大会の場面では、それまでのイメージとは全く違ったベラーズのパフォーマンスが見られますし、トレブルメーカーズの方は、愛すべきジェシーの親友もアカペラデビューを果たすので、彼の歌声にも注目です。
また、ベッカがそれぞれ友情と恋愛における人間関係を育んでいく過程は、もちろん本作品の見どころなのでそちらにも注目してほしいのですが、この場ではほかの見どころについて紹介しますね。
①ふたりの審査員
アカペラ大会において、毎回同じ二名の審査員が評価をするのですが、このふたりがひどい批評家です(笑)。
女性と男性なのですが、コメントが適当というかなんというか…。ときに下品だし、単純だし、幼稚であったりもします。
だからこそ見てて愉快というか、面白く味のある二人組です。これがまっとうな審査員で、かしこまったコメントをするようなふたりだったら、コメディとしての面白さや後味は出せなかったんだろうなぁと感じました。
②メンバーが個性的
ベラーズのメンバーは個性的で、みんな突っ込みどころがあります。
太っていることを自らニックネームにつけてしまう茶目っ気の持ち主・ファットエイミーや、これでもかというくらい吐くシーンを繰り返すオーブリー、一見まともそうに見えるけれど、手術後男性のような野太い声が出るようになったクロエ、突然「双子の妹を食べた」と言いだす、声がとても小さいアジア系のリリーなど、見ていて本当に面白いメンバーばかりです。
中でも特に面白かったシーンは、ベラーズのメンバーで押し合いへし合いになった拍子に突き飛ばされたリリーが、オーブリーの吐き出した物の上に投げ飛ばされた瞬間です。
「うわ、最悪。かわいそう」と思いましたが、リリーの固まった表情がなんとも笑いを誘う表情で、そこで一度目の笑いがきました。
そのあと何回かシーンが切り替わり、またリリーに焦点が戻ってくるのですが、リリーはそこで両足・両手をぶんぶん動かせてまるで円を描くように体を動かしています。
それも無表情で。「汚い」とか、「見てられない」という感想よりも先に、「この子面白いなあ」と自然と思ってしまいました。
そのシーンまでは、リリーはなんだか不気味で気味の悪い子だと思っていましたが、その瞬間に見る目が変わりました(笑)。
映画が進めば進むほど、メンバーに対する愛着が湧くというか、味が出るようになっています。
ひとりくらい憎まれ役というか、好きになれないメンバーが出そうなものですが、この作品では不思議とそんなことはありませんでした。
③突っ込みどころが多い
良くも悪くも、淡々と物語が進んでいくので、ディテールの設定に突っ込みたくなったりします。
たとえば、一度ベッカに対し、「DJになるための援助はしないからな!」と言い放った父親が、いつの間にか最後には大会に応援に来ている!とか。
ベラーズが準決勝で敗れた相手であり、決勝進出の資格を失ったソカッペラのチームのリーダーは、捜査員みたいな人物が訪問に来ていたけれど、大学生ではなかったということなのか…?という疑問を持ったりとか。
シンシアは、自分を受け入れてくれなかったベラーズを憎んでいると思っていたけれど、いつの間にか加入している!?とか。
「物語の進行になにか重要な役割を果たしているわけではないけれど、よく見て、考えてみると、突っ込みどころ多いなぁ、これ。」というような要素がたくさんあります。
面白いです。
けっして雑なわけではないし、たいして気になるというようなものでもないですが、そういうところにも気を配って見てみると様々な発見がありそうですね。
個人的にも、二回目を観たらもっと楽しめるのではないかなと実際に思います。
まとめ
また、気軽に鑑賞することが出来るので、それほど構えないで作品を楽しめます。
コメディが好きな人、ノリツッコミが好きな人にもおすすめです。
一度は観て損しない映画なのではないかなと思います。