在原業平が歌った和歌であり、百人一首にも選出されています。
ちはやぶるとは、荒ぶると言う意味を持ちますが、その勢いは一点に力を集中しまるで動きが止まっているようにも感じる激しさを表す言葉でもあります。
今回は、そんな百人一首をテーマにした映画「ちはやふる 下の句」を観てきました。
「ちはやふる 上の句」の続編であるので、上の句をまだ観ていない方はそちらを観てからの方がより一層楽しめるのではないか、と思います。
この映画は、主人公・綾瀬千早がかるたを通して人とつながり、かるたを楽しみそれに情熱をかける青春物語です。
全国大会の切符を手に入れた瑞沢高校かるた部は練習に勤しんでいました。
そんな中、前回の「ちはやふる上の句」でかるたをしないと告げた綿谷新を心配して綾瀬千早と真島太一は新のいる福井に向かいます。
福井に着き新に会いますが、すぐに帰ってほしいと新に拒絶されてしまいます。そこで千早と太一は、新の祖父でありかるた永世名人の綿谷始が亡くなったことを知ります。
新の目標であった祖父の死は新にとって大きな衝撃であり今は進む道が分からない状態のようでした。そんな新に太一は強くなって待ってると言い、２人は東京に帰ります。
東京から帰ってきた千早は瑞沢高校かるた部の仲間と練習に勤しみます。全国の壁は厚く、全員が勝つ為に今年始めたばかりの大江奏と駒野勉のスキルアップをしなければならないと白波会会長・原田に言われます。
そこで、千早は階級別個人戦にクイーンが出るという話を聞き、現クイーンである若宮詩暢に勝ちたいと意気込みます。
クイーンを倒すことに没頭する千早ですが、それは一人になろうとする新を繋ぎ止める為の彼女なりの必死の行動でした。
団体戦の練習も頑張ると言っていた千早でしたが、個人戦に想う気持ちが強くなる一方でやはり団体戦の意識が疎かになる千早に部長である太一は今の千早は部にはいらないと突き放します。
強くなるために千早は一人で北央学園かるた部に出稽古に行きますが、そこで全敗し、１人で強くなろうとする千早に対し北央学園の須藤が「かるたは一人でやるものではない」ことを千早に気付かせます。
このことがきっかけになり、千早は瑞沢かるた部の仲間に謝り、再び一緒に練習に励みます。
そして、いよいよ全国大会が始まるのです。
綾瀬千早（あやせ ちはや）…広瀬すず
本作の主人公。小学校時代に新から百人一首の魅力を教えてもらい、高校生の今もかるたに情熱を捧げる。
綿谷新（わたや あらた）…新田真剣佑
競技かるたの永世名人である祖父・綿谷始を持つ。千早に競技かるたの魅力を教えた人物。
真島太一（ましま たいち）…野村周平
かるたは好きではないが、千早に誘われかるたを再びやる。小学校から千早のことが好き。
西田優征（にしだ ゆうせい）…矢本悠馬
あだ名は肉まんくん。小学校時代は競技かるたで全国2位の才能の持ち主。瑞沢高校かるた部の部員。
大江奏（おおえ かなで）…上白石萌音
呉服屋の娘。和を愛する女子。瑞沢高校かるた部の部員。
駒野勉（こまの つとむ）…森永悠希
あだ名は机くん。かるた部にははじめ幽霊部員として入るものの、千早のおかげでかるたを本気でやり出す。
原田 秀雄（はらだ ひでお）…國村隼
白波会の会長。
若宮詩暢（わかみや しのぶ）…松岡茉優
現役女子高生かるたクイーン。
須藤暁人（すどう あきひと）…清水尋也
北央学園かるた部の主将。
木梨 浩（きなし ひろ）…坂口涼太郎
北央学園かるた部の部員。
若宮詩暢の魅力
下の句では、競技かるた全国大会までの物語が描かれています。前回から登場しているキャラクターはもちろん素晴らしいですが、今回は新たに若宮詩暢が登場し、より一層物語が変化していきます。
キャラクターの中でもこの詩暢ちゃんがかっこよく、強くて面白いです。原作から私が個人的に１番好きなキャラクターなのですが、松岡茉優さんが本当にそっくりそのままの演技をしてくれたと感じました。
新が詩暢になんの為にかるたをやるのかと聞いた時に、真っ先に
若宮詩暢
と言い切る彼女がかっこいいと感じました。また、私服が独特で天然な所も魅力的なキャラクターであると思います。
人との繋がりを感じられる物語
また、下の句では人との繋がりをテーマに物語が進んでいたように感じました。
太一が新にアドバイスをこうシーンでは、新が
新
と教えてくれます。それは、新自身が幼い頃に祖父に言われた言葉で、祖父から新に受け渡された大事なものでした。
新が思い出す祖父との会話では、
という和歌がキーワードとなり
と、祖父が新に教えてくれます。
人生においても思い出は大切だなと感じますし、新にとっても太一にとってもすごく温かな心に残るセリフであったのではないか、と感じました。
かるた好きな千早と詩暢
また、千早が詩暢に
千早
と純粋にかるたを楽しんで言った場面も印象的でした。
個人戦こそ純粋なかるたと考える詩暢にとって団体戦をしながらかるたを楽しむ千早はとても衝撃的で、なお且つかるたの世界でひとり孤独を走る詩暢を嬉しくさせることだったと思いました。
かるた好きな２人がもっと対戦する姿を映画の中で観たかったな、と感じるくらい２人のシーンが私はとっても好きでした。
「ちはやふる 下の句」はかるたを通して、人との繋がりの大切さを教えてくれる映画でした。
アクションが好きな人、ラブコメが好きな人にはあまりおすすめしません。
情熱的な青春映画が好きな人、友情重視の映画が好きな人、ハッピーエンドが好きな人におすすめです。
一人一人がかるたに対する様々な情熱を持って物語が進みとっても熱い映画です。
